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Off Time Vol.08
指導部への初インタビューとなる今回は、世田谷区上馬にある「ネジの永井」代表取締役・永井耕太郎さんです。
永井さんは、清水先生の下で約9年内弟子として活躍され、その後家業であるネジ専門店を継がれました。
現在は天道館指導部の一人として、指導・稽古をされています。
“あなたの半径1メートル以内に、必ずネジは使われています!”
…ネジ一個の大切さと、天道館での指導・稽古への想いを語っていただきました。('07.2月)


---天道館での指導にあたり、日々心掛けていることはありますか?
 形や技をただ教えるだけではなく、心の繋がりを大切にしていきたいですね。
 初めて合気道を習う人たちからすれば道場に入るだけでも緊張するのに、更に体を動かさなければいけない。形を教えることは簡単ですが、一言声を掛けるなどの気持ちの面でのケアを大切にしたいと思っています。やはり、武道とはいっても楽しく続けなければ勿体ない。先輩の門人たちが新しい門人たちへ心配りが出来るような道場は、雰囲気も良くなりますし、合気道のレベルも高くなっていくはずです。

---“楽しさ”というのは大切な要素ですよね?
 はい、絶対にそう思います。

---永井さんは内弟子として清水先生の下で稽古をされていましたが、当時を振り返ってみてどんなことが印象に残っていますか?
 いつも怒られていました(笑)。あと五分で稽古が始まるのに延々と説教が続いて…弟子でしたから何も言えませんでしたけどね。だけど、今自分が経営者の身になってみて、当時清水先生がおっしゃられていた意味が本当によくわかります。
 清水先生はいつも新鮮なんです。道場の指導・運営において頭の中でひらめいたことがパッと出てきて、先生についていくことはたいへんでしたが、その新鮮さというものは大切なことなのです。

--- 一番たいへんだった思い出は何ですか?
 ドイツへ指導に行った時のことなのですが、その日はお昼ごはんをたくさん食べて、ビールも飲んで、今日は稽古が無いのだなと勝手に思っていたんです。そうしたら、急遽稽古が行われることになって…。夏でしたから、道場はとても暑くじっとしているだけで汗が噴き出してくるような状況でした。お腹は一杯だし、ビールも飲んだし、先生の受けを取らなければいけないし…本当にその時は辛かったです(笑)。

---清水先生との道場以外での思い出はありますか?
 清水先生には本当にお世話になりました。稽古が休みの日にはよくお宅へお邪魔して、ご馳走していただいたりしました。いつも先生は「永井くん、どんどん食べろ」とおっしゃってくれて。仕事の場以外でも従業員に気遣いを持って接するということはここから学びました。内弟子時代は辛いこともありましたが、清水先生の温かさがあったから乗り越えられたのだと思います。

---演武の際、清水先生の受けを取る時はどのような心構えで臨むのですか?
 緊張を振り払うという意味で“何も考えない”ということと、清水先生の全てを見逃さないようにするということです。クリント・イーストウッド主演の「シークレット・サービス」という映画があるのですが、劇中で大統領のボディガード役の彼が一番怖いものは何かと聞かれて、自分が死ぬことではなく、「見落としてしまうこと」と答えるんです。合気道の受けが命を賭けるほどのものではないかもしれませんが、それと同じぐらいの注意力を心掛けています。そして最後は、自分を信じる、ということですね。



有限会社 ネジの永井
世田谷区上馬4-35-13
Tel. 03-3424-0626 / Fax 03-3424-0670
お問い合わせ:
電話またはファックスよりお願いします。

---正直に言って、あまりネジの専門店に馴染みがないのですが、永井さんのお店ではどんなことをしているのですか?
 私の店では、ネジの小売をしています。お客さんのニーズにあった物を、ネジ1本から10万本まで販売します。1個1ミリグラムの重さのものから15キロ以上のものまで取り扱っているんですよ。

---お店にはどのようなお客さんが来るのですか?
 子どもが一人で玩具の修理のために探しに来ることもあるし、大企業から注文を受けることもあります。ゲーム関係、パソコン関係、建築関係、パチンコ関係など全く偏ることがなく、幅広い職種の人たちと接していますね。普段の生活の中ではネジを身近に感じることは少ないかもしれませんが、半径1メートル以内に必ずネジが使われています。例えば、眼鏡や携帯電話、腕時計、家電製品など。日常生活に必要な身の回りのものには全てと言っていいほど使用されています。そのネジが1つないだけで不良品となってしまうんですよ。

---そうですね、考えてみると小さなネジが一つ無いだけで使えなくなるものって多いですね。
 そうです! どんなに高級なハンドバッグを持っていても、取っ手のネジが無ければ外れてしまって使い物になりませんからね。

---合気道と今の仕事との共通点はありますか?
 はい、私の店には子どもから大人のお客さんをはじめ、宅配便、電話、ファックスなど色んなものがそれぞれ全く別々の用事を持って行き来します。仕事には流れというものがあって、従業員達が今何をしているかという流れを把握出来るようにならないと無駄が多くなってしまいます。今あの従業員は何をしているな、あの人はこれをしているなと流れを掴めれば、今自分がすべきこと、最優先にすることを容易に導き出すことができるんです。合気道の稽古もそれと同じで、一つのことに固執してしまうと頭が固くなり動きが小さくなってしまいます。自分のことだけではなくて、一緒に稽古をしている相手と流れを合わせなければいけません。自然に流れを掴むということが、合気道と仕事において一致した部分ですね。

---今日はありがとうございました!最後に合気道に興味を持たれている方達にメッセージをお願いします。
 形や技だけではなく、心の繋がりを心掛けて指導していきといと思っています。心身共に充実感を得られるような稽古を一緒にしましょう!

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