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Off Time Vol.03
オフタイム・インタビューの第二回は、映画やドラマなどのヘアメイクで活躍中の佐藤光栄さんです。
自分の人生に合気道はなくてはならないものと語る佐藤さんに、
稽古から学んだことや、お仕事の苦労話などを教えていただきました!('05.9月)

佐藤光栄さん

---まず、天道館との出会いはどのようなものだったのですか?
 一番のきっかけは、『禅と合気道』の本を読んでです。その時ちょうど時代劇の撮影をしていた頃で、禅とかいう言葉に敏感になっていたんです。
 そうしたら本当にたまたま本屋さんで見付けて。で、合気道にはもともと興味があって、多分、どっかで見たり聞いたりしていたんでしょうけど、やっぱり縁があったんでしょうね。

---合気道がお仕事に役立っていることはありますか?
 私が仕事を始めた最初の頃は、映画一本撮るたんびに胃潰瘍になってたんです。あと、自律神経失調症とか。創造していかないといけない世界ですから、いつも自分が自由な発想で心も体もいなきゃいけないと思うんです。今は、何かことがあるたびに、例えば嫌な仕事をする時は、一つのことに心を留めているから嫌だと思う訳で、一つのことに留めないでおこう、留めないでおこうって念じますよ。嫌だと思うから、嫌なんだって。だから嫌だと思う心を自由にして、さらっと流して執着しないように。それは合気道の相手の力に逆らわずに、かわしたり、流したりするのと同じです。本当にそういう風に考えられるようになったのは、直接肌で体現できる合気道に出会えたからだと思います。だから、私の人生の中で合気道はなくてはならないです。

---その他に合気道から学んだことはありますか?
 以前清水先生に、強さって何でしょうね?って伺ったことがあるんです。そうしたら、「本当の強さは、意思なんですよ」って。「合気道の技は上手、下手でしかないんです」って。本当の強さは意思であって、合気道であの人強いねって言われるのは、技じゃなくて意思が強いからなんですよ、と。そんなことを今までおっしゃってくれた方はいなかったので、それを聞いた時は自分自身一皮むけましたね。強くなりたいと思ってた自分が、強さって何かがわかったことが一番心に残ってます。

---では、話題を変えて、そもそも佐藤さんがされているヘアメイクとは、どのようなお仕事なのですか?
 まず、ヘアメイクと言っても、いろんなタイプがあって、ファッション関係だったりとか、コマーシャルだとか、テレビ、映画、舞台などいろいろあるんです。お祭りで大名行列とかあるじゃないですか? 昔、それのスタンバイをしにいったこともあります。しわしわのお婆ちゃんを町娘の格好にさせたりして(笑)。全般をやりましたが、私は八年会社にいてそのあと独立してからフリーになって、今は主に映画とテレビ、コマーシャルをやっています。
 多分、みなさんの一般的なイメージだと、タレントさんや有名な役者さんのヘアとメイクをセッティングするという印象が強いと思うんです。でも、ドラマの時などは、ただきれいにするだけじゃなくて、あくまでも役に合ったものにししなくちゃいけない。監督さんによっては、エキストラさんにでさえすごい細かいところまでこだわる人がいるんですよ。

---なぜ、ヘアメイクの世界へ入られたのですか?
 最初は、ヘアメイクをやりたかったわけじゃないんです。最初は故郷でOLをやっていたんですけど、一人で生きて行きたいという想いが強くて、OL生活は楽しかったですけど中途半端に生きていくのは嫌だなと。元々、美容関係には興味があって、そういう方面の学校が東京にあると聞いて上京したんです。バイトしながらいろいろな学校に通って、たまたま知り合った人や、縁があって出会った人達が私をこの職業に引っ張ってくれたんです。ある時、やってみない?って聞かれて、2〜3年やったら田舎に帰ろうぐらいの気持ちで決めたんですけど、まぁ、縁があったんでしょうね。今に至ってます。ほんと、人との出会いです。




●佐藤光栄さんの主なヘアメイク作品
<映画>
'96『極道の妻たち』 '96『女優霊』 '98『鉄道員』
'00『ホタル』 '03『巌流島』...
<ドラマ>
'96〜『古畑 任三郎』 '97『総理と呼ばないで』...等

今後の公開映画作品
『単騎千里を走る』'06 1月公開
『嫌われ松子の一生』'06 5月公開

---お休みの時のリラックス法はありますか?
 ただひたすら休むっていうのが嫌いなんです。仕事でかなり大勢の同じ人と毎日、毎日顔を合わせてると、仕事を忘れるために、全く違う人たちと会いたくなってくるんです。違う環境に身を置いてみたくなったり。美味しいものを食べに行ったりだとか、映画を観に行ったりだとかね。本当に疲れを取るためにはただ寝てるだけじゃいけないんですよ。
 でもそれって結局は、仕事と一つの輪みたいに関係してくるんですけどね。

---今まで佐藤さんがお仕事をされてきて、一流とはどんな人のことだと思いますか?
 ヘアメイクの世界で考えてしまうと、相性の問題がホントあると思うんです。この俳優さんとはよくても、この俳優さんとは合わないみたいな。合う俳優さんにとっては一流でも、合わない俳優さんにとっては一流ではないわけだから、一概には言えない難しいところなんですよ。ただ、私がよく一緒に仕事をするとっても有名な俳優さんがいるんですけど、その人と他の俳優さんの一番大きな違いは、想いの高さなんですね。自分の仕事に対しての志がほんとに高いんですよ。ダメなものに対してはハッキリ切るけど、一度惚れたものに対しては自分のすべてを捧げるっていう姿勢。だからそう考えてみると、一流って想いの高さなのかな。
---今日はありがとうございました! 最後に、今後の合気道の目標を教えてください。
 木の葉のようにヒラヒラっと受け身をとることです!(笑)

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