私が故・植芝盛平師(合気道開祖)の元にいた頃、師はいつも「力は有限、気は無限。気力を養成しなさい」と話され、心が肉体を支配するということを強調されたものである。
合気道は日本人が大切にしてほしい日本伝来の文化の一つであり、五百年以上の歴史を持つと言われ、日本武道の中でも唯一競技化されず心技を磨くことに 重きをおいた武道である。器用、不器用に関係なく、真剣な気持ちで稽古を継続することによって、心身の抵抗力・気力が養われていく。
合気道の技は古流柔術の関節技が中心をなしていて、解剖学的知識を応用したものが多い。その技は円運動にもとづき崩して投げ、極めるので、相手の大きさに拘らず、小の力で大を制することが可能となる。
さて、当道場でも、各々程度や量の差こそあれ弛まぬ稽古により、皆が自分の機能の向上を求めて努力を続けている。それは実に「人間らしい時間」を過ごしている姿になっている。この時間を積み重ねていくことが「心身を鍛え」「精神を高める」ことに帰着することは言うまでもない。
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