入門にあたって

少年部の活動にあたって

天道館管長 清水 健二

 1970年に開設された天道館は早や38年の年輪を重ねて参りました。一般部始め少年部保護者の皆様のご支援があったればこそ、この今の天道館少年部があると認識し、感謝しております。

 指導は少年部ほど難しさを感じることはありません。しかし指導によっては砂漠が水を吸うように覚えてくれます。少年部は4、5歳から11、12歳までの子供達です。指導は各々の個性を摘まないようにして鍛えることを指導目標にしております。一律に教えれば個性を断つことにもなるし、だからと言って勝手を許しては稽古にならない。そこで先生たるものは子供に好感を持たれなければならないし、しかし怖さも必要であります。厳しさだけではいけない。形の上だけの怖さ、厳しさは子供には直ぐに見抜かれてしまう。子供は邪気が無く動物的勘に優れている故、指導者は我を愛する心を以って他の子を愛する也である。飴と鞭をしっかり使い分けることの重要性を学んでいなければならないと思っています。

 天道館少年部は原則5歳からの入会を、親のたっての希望で4歳児でもお預かりする場合が幾人かありましたが、子は自分の意思で入門したのではなく、親の勝手な振る舞い(?)に大変困惑するのでしょう。稽古初日には泣いてばかりいた子も少なくありません。しかし2回目からは子供なりに覚悟をするのでしょう。問題無くなります。こうして6・7年やってきた子が少々合気道を分かるようになってきた頃、中学受験を控えて大半が辞めていくのです。大変残念でなりません。さあ、これからという時なのです。頭を良くすることが大事なことであることは勿論のことですが、身体を鍛えながら礼儀作法を覚えることがどれほど大切かを保護者の方にもっと分かってほしいと思っております。昔から文武両道、心身の鍛錬と言われます。頭か身体かどちらかに偏り易い時期故に、礼儀知らずやもの一つ言えない人間では仕方がありません。合気道を通じ、日本国の有意義な人材になって欲しいと思っております。


教えること

天道館少年部指導・清水 健太

 ある日の稽古のこと、入門したばかりだった小学一年生(当時)の虎之介くんに、合気道の基本動作である転換を教えていました。しかし、なかなか上手くいきません。虎之介くんに転換を教えなくてはいけない、だけど他の子どもの稽古も見なくてはいけない。注意が行き届いていないエリアでは、にわかにざわつき始めていました。半ば、無理矢理のアイディアで、近くで稽古をしていた二年生の鸙野(ひばりの)さんに、転換の指導の続きをお願いしました。その間に技の稽古をしていた他の子どもたちを見て回り、もう一度先ほどの二人の所へ目を移してみると・・・『!!!!!』なんと、「いち、に いち、に《と、声を掛け合いながら上手に動いていました。

 何かを教える時、先生が正しいことを言うのは当然だと思います。しかし、何よりも大事なのは子どもとのコミュニケーションがしっかりと取れているかということです。一方的に教え込まそうとするだけでは、子どもの学ぼうとする力の許容範囲を超えてしまったり、興味や好奇心を削いでしまう場合が多くあります。覚えようという力を後押しして、子ども達に自分自身で考えられる力を身に付けてほしいと思っています。虎之介くんと鸙野さんのケースでは、子ども同士であるからこそわかり合える感覚があったのでしょう。教えられた側の子どもには上級生の子に対する尊敬の気持ちが生まれるだろうし、また逆に教えた側の子には、自分が教えた子が上手になっていく様子を見て他人への愛情が強くなっていきます。常々、上級生の子たちには下級生のお手本にならなくてはいけないと伝えています。自然とそのような雰囲気が出来上がれば素晴らしいですし、そうなるように努めています。

 現在の少年部での稽古において、新しく入門してきたお友達には、まず上級生の先輩が指導にあたります。幸いにも、少年部の子どもたちは後輩の子に教えてあげることが好きなようです。そして、その微笑ましい姿を見て、先生達は本当にたくさんのことを子どもたちから学んでいます!


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